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たとえば、貴方が癌の手術をすることになりました。おなかを開けての手術ではありませんが、研究レベルの物珍しさのものでもない、ちょっとした病院だったらどこでも可能な手術です。ところが、根治が認められない、あるいは、予後を伸ばす確実性が低いと言うことで、保険会社がNOと言ってきました。貴方が取ることのできる選択肢はどうなるのでしょう。
1.リスクの大きい開腹手術に変更して保険適応の可否の事前申請をしなおす。*しかし、それでも否決される可能性がある。
2.自前で200-500万円ほど支払うことにする。
3.あきらめる。
(4.裏の手としてソーシャルワーカーや代議士を巻き込んだ政治戦略に出る。社会的プレッシャーで病院の持ち出し負担で手術を受ける。それなりの大逆転なコネがないと無理)
以前、患者さんが手術台の上に乗った段階で、保険会社から「否決」の電話が入ったことがありました。数名の指導医、保険会社交渉役の事務員などが小一時間電話口で粘ったのですが、否決の意見に変更はありませんでした。
彼と、その家族がとった選択肢は「3.あきらめる。」でした。
残念なことに、これは日常茶飯事です。彼が特殊な例ではありません。指導医の大きな仕事のひとつに保険会社から否決された症例を考え直してもらうように電話をかけ、手紙をかく、というものがあります。7割から9割はこれでなんとかなるのですが、値段の高い手術の場合、ばっさり断られてそのまま、と言うことは多々あります。保険が通る、通らないが治療方針決定の大きなキィとなります。残念ながら、この経済大国において命は平等ではないようです。よい保険をもっている、良い保険に加入している余裕がある、特殊な公的保険に入っている人と、そうでない者の差は、あまりにも大きく、癌の手術を否決された患者さんの電話を切ったあと、しばし呆然としたことを思い出します。
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