Transitional Care Management:ケアの移行に伴うマネジメントとは 一般的に、ケアを受ける場所が変わると(自宅から病院へ入院、その後リハビリ施設へ退院など)治療方針や薬剤などに変更が生じます。 老 […] » 続きを読む

一般的に、ケアを受ける場所が変わると(自宅から病院へ入院、その後リハビリ施設へ退院など)治療方針や薬剤などに変更が生じます。
老年科では基礎疾患などの多い高齢の患者さんを多く診療することもあり、一度何かをきっかけに病院に入院をすると、その後も施設や病院への入退院を繰り返したり、複数の合併症に伴う薬剤の複雑な変更が起きたりします。
診療するチームも、患者さんが置かれている状況によって変わっていくので、情報の伝達がうまく行われないと、このようなケアの移行(Transition in Care)に伴い何かしらの間違いが発生する危険性が高くなります。
老年科フェローとしては、次のケアの環境へ送る側の入院サイドと、退院後の患者さんを受け取る側である外来診療サイドの両方を経験するので、このケアの移行(TCM/Transition in Care)の重要さを感じる場面が多くあります。
入院中などは、病状によって使用する薬剤が追加/変更されたりする事が多く、その情報がうまく次の施設での治療チームや、患者さんたちに伝わっていないとミスが起こりえます。
そのほかにも、入院中に見つかった病態などに対して、退院後も追加の検査や治療が必要になるケースも多く、これらの情報も外来などで継続的に診療を行うチームに情報伝達が行われないと、患者さんが必要なフォローアップや治療/検査の機会を逃すことにつながります。
患者さんの退院に際して、薬剤の確認(Medicine Reconcilliation)、退院サマリーなどの入院中の情報の確認、フォローアップの必要なテストや治療がないかの確認、退院後の教育、その他の外来フォローアップがきちんとセットアップされているかの確認などを確認する必要があります。
具体的には、退院後2営業日中に電話で患者さんやその家族と話して薬剤のチェック(変更などがあるか、それを患者さんたちが把握しているか、処方は切れてないか)、退院後のフォローの確認、その他の症状の変化の有無などを行います。
そして、暦日で(週末も含めて)退院後に7-14日以内でのTCM visitと呼ばれる退院後のフォロー外来で、薬剤のチエック、退院サマリーの確認、退院後の必要なフォローアップや症状確認のチェックを行います。
これらのチェックを退院後の早期に行うことで、再入院率を減らせたりひいては医療費の抑制にもなるため、米国ではCenters for Medicare and Medicaid Services (CMS)が主導となって勧められています(条件を満たすと病院から保険に請求可能)。(“Bindman et al. Changes in Health Care Costs and Mortality Associated With Transitional Care Management Services After a Discharge Among Medicare Beneficiaries. JAMA Intern Med. 2018 Sep 1;178(9):1165-1171.”)
基本的には入院ケアから外来ケアへの移行における橋渡しのサポートですが、筆者の働く老年科では患者さんが退院後の流れが決まっています。
まず、退院が決まった段階で、患者さんの外来主治医チームと連絡をとり、入院中の簡単なサマリー(薬剤の変更点、退院後の特別なフォローの必要性)を伝え、外来予約を7-14日以内で予約します。
そして、実際に患者さんが退院後、翌日(週末なら週明け)に患者さんやその家族に電話して、体調の確認、退院時の薬剤変更の確認(変更があった薬が手元にあるか)、次回のフォローアップ外来の予約確認を行います。
米国の入院診療は入退院のペースが早目なので、フェローとしてはほぼ毎日数件は、このような退院関連のケアを通常の業務と一緒に行います。
老年医学フェローとして入院や外来で担当する患者さんたちは、基礎疾患も多く病院や施設への入退院を繰り返している方も少なくありません。
実際に、TCMを入院診療チームとして実施している視点、TCMを受けた患者さんを外来で受ける視点からしても、老年科フェローとして診療している患者さん達にとってはとても理にかなったシステムだと感じています。
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