2023年3月の研修はフェローシップ1年目では2度目の外来での研修でした。前回はフェローシップが始まって間もない2022年8月に外来ローテーションを行いました。平日10コマ中6コマの外来診療にあたるという構造で勤務します […] » 続きを読む

2023年3月の研修はフェローシップ1年目では2度目の外来での研修でした。前回はフェローシップが始まって間もない2022年8月に外来ローテーションを行いました。平日10コマ中6コマの外来診療にあたるという構造で勤務します。どの指導医のクリニックを選択し、どのような疾患の診療にあたるかを自分で選択できるため、今回は以下の6つのクリニックを選択し、研修しました。
General hematology clinic
こちらの外来では、血球数や分画の異常、あるいはリンパ節腫大や脾腫など、まだ診断が確定していないものの、血液疾患が疑われる症例を主に扱いました。血液疾患といっても疾患は数限りなく存在しており、同時に非常に多くの検査項目があるため、必要十分な検査で診断にたどり着くことは頭を使う作業です。骨髄生検は多くの場合で非常に有用ではありますが、侵襲的な検査であり、患者さんへの負担が大きいため、なるべく生検なしで診断がつけられるように検討しています。
Hypercoagulability and thrombosis clinic
血液疾患でも特に凝固系の異常に関する診察を行います。深部静脈血栓症や肺動脈塞栓症を発症した方のうちで、かかりつけ医や入院担当医が遺伝性、あるいは二次性の凝固異常を疑った際にコンサルトされます。頻度の多い疾患としてはFactor V LeidenやAntiphospholipid syndromeがあります。悪性腫瘍に対する化学療法のレジメンなどに比べて、治療選択のもとになるエビデンスが確立していないことがしばしばあるため、各症例のバックグラウンドを細かく吟味したうえで治療することが肝要です。一方で、血友病やVon Willebrand Diseaseなどといった出血傾向を伴う疾患も診察します。
Cellular therapy clinic (myeloma)
骨髄移植やCAR-Tといった細胞治療を必要とする患者さんを診察する外来です。当院ではニューハンプシャー州やメーン州、バーモント州から骨髄移植やCAR-Tを必要とする患者さんを受け入れているため、多くの患者さんがこの外来を訪れます。指導医のバックグラウンドの関係からほとんどが多発性骨髄腫の患者さんです。もちろん移植やCAR-Tそのものは入院にて行いますが、入院前の適応評価や、退院後のフォローアップなどを主に外来で行っています。CAR-Tは比較的新しい治療法であり、まだまだ長期フォローアップのデータも不足しているので、この外来でそういった患者さんを診察できることはとても良い経験になります。
Thoracic oncology clinic
主に肺がんを扱う外来ですが、指導医ががんセンターの治験の責任者をしていることから、治験に組み込まれている患者さんが比較的多いクリニックです。治験は医師一人でできるものではなく治験コーディネーターなどと密接にコミュニケーションをとりながら診療、研究にあたっています。
GI oncology clinic
主に消化器がんのクリニックですが、神経内分泌腫瘍(膵臓や虫垂から発生する比較的まれな腫瘍)の患者さんを多く診察しています。神経内分泌腫瘍は一般的にはゆっくりと進行する疾患ですが、急速に進行したり、症状のコントロールが難しかったり、その治療には難しさもあります。近年では分子標的薬に加えて177Lu-DOTATATE(lutathera)という放射性医薬品を使った治療も行われており、とても興味深い疾患です。
Breast medical oncology clinic
乳腺腫瘍内科は米国の腫瘍内科において非常にメジャーな分野であり、乳がんの発生頻度や術前術後化学療法が多く使用されることから、多くの患者さんが入選腫瘍内科外来で診察を受けています。乳がんはがんのステージだけでなく、その生物学的、遺伝学的特徴をもとに最善の治療を決めるという、Precision Oncologyの概念が最も早く取り入れられたがん種の一つであり、その内科的治療はとても細分化されています。近年ではOvertreatmentの問題を解決すべく、どのような特徴を持った患者さんはより少ない治療で十分か、といった研究が活発に行われています。
4月はリサーチのローテーションとなり、臨床業務は非常に少なくなります。研究は血液腫瘍内科のフェローシップにおいてはとても重要であり、ある程度の研究業績を出すことが終了要件の一つにさえなっています。次回の記事では私が取り組んでいる研究について記載したいと思います。
2023年3月の研修はフェローシップ1年目では2度目の外来での研修でした。前回はフェローシップが始まって間もない2022年8月に外来ローテーションを行いました。平日10コマ中6コマの外来診療にあたるという構造で勤務します […] » 続きを読む
2023年になりまして、1-2月はVeterans Affairs(VA;退役軍人病院)での研修を行いました。普段のDartmouth Cancer Centerでの研修との主な違いとして、Dartmouth Cance […] » 続きを読む
12月の研修は腫瘍内科コンサルトとして入院患者さんの悪性腫瘍の管理、治療に関するコンサルテーションを行いました。悪性腫瘍に関する質問であれば、原発巣や進行度、また、確定診断がついているか否かに関わらずコンサルトを受け、検 […] » 続きを読む
11月の1か月間はNeuro-oncology(脳神経腫瘍科)の外来で研修を行いました。米国において悪性腫瘍の薬物療法はInternal Medicine(内科)のレジデンシーを修了したうえでMedical Oncolo […] » 続きを読む
緩和ケアのコミュニケーションツール:REMAP のMAP 今回は、前回に引き続き緩和ケアフェローが学ぶコミュニケーションツールであるREMAPの後半、MAPについて解説していきます! M:Mapping Values「何 […] » 続きを読む
9月の血液内科病棟での勤務を終了後、10月の前半は入院病棟での緩和ケアコンサルトチームに配属され、緩和ケアの実習を行いました。緩和医療は内科の専門領域の一部として確立しており、私が勤務するダートマス大学の病院では、緩和ケ […] » 続きを読む
私が受験資格を得たのは2018年でした。一番時間を要したのが卒業した学校の査定です。私が依頼したのはCGFNSというエージェンシーですが、当時は日本からの受験者はそれほど多くはなかったので、エージェンシーも日本の看護学校 […] » 続きを読む
医療界に限らず、長年日本労働社会を支配している絶対的な肯定論に加え、長時間の勉強により大学受験の最高峰である医学部医学科合格を勝ち取った個人の成功体験により、私たち日本人医師には、もはや信仰に近い長時間労働に対する強い肯 […] » 続きを読む
アメリカの病状説明(Goals Of Care discussion)とは? アメリカでの緩和ケアチームの重要な役割の一つに Goals Of Care discussionと言われる、医療チームと深刻な病気を持った(も […] » 続きを読む
1か月間のオリエンテーション、血液/腫瘍内科外来の研修がおわり、9月はいよいよ血液内科病棟での業務となりました。私が所属している研修プログラムではこの血液内科病棟での業務が最も多忙なローテーションとされています。また、ダ […] » 続きを読む