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Dr.Yumi

ブログについて

研修を終えてスタッフとして働き出してからは、アメリカ医療の現実をさらに実感するようになりました。よいところも悪いところもあるアメリカの医療の日常に、循環器のホットなトピックを交えて発信していきたいと思います。

Dr.Yumi

名古屋大学医学部卒業後、1年間のスーパーローテ研修を経て、アメリカにて臨床研修開始。内科レジデンシー、循環器フェローシップ、循環器インターベンションフェローシップを終え、現在ニューヨークのMount Sinai Beth Israelにてスタッフとして働き6年目。専門は循環器、特に心臓カテーテル治療。2人の娘の子育てと仕事に奮闘中。

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先日アメリカで実習中の日本の医学部の学生さん達と話をしていたところ、「アメリカの方が女医さんが働きやすくていいですよね」と言われました。女性が仕事と出産・子育てを両立するのはどの世界でも大変な事ですが、医師の世界でも同様です。確かにアメリカの方が女医さんで活躍している人が多い気もしますが、実際に働きやすいのでしょうか?

出産・子育てを経験してわかりましたが、母親業はなかなか大変です。私が定期的にご飯を一緒に食べに行く3人の循環器の女医仲間、みな過去にはチーフレジデントとして働いていた優秀な人々ですが、2人は子供が生まれた後はパートタイムとして働く道を選びました。循環器内科は競争が比較的厳しいためか、男性優位な部分もあり、私達の会話では「循環器は本当、Boy’s clubよね」などのコメントが出たりする事もあります。女医が比較的多い私の病院の循環器内科でも、子供がいてフルタイムで働いている女医は気付けば私だけです。

アメリカの産休はヨーロッパのようには充実していません。私の病院では有給として取れる産休はほぼゼロで、病欠で休める分と休暇を組み合わせて2-3カ月でしょうか。日本の方が産休・育児休暇の制度はしっかりしているようです。ただ長く休んでしまうと第一線に戻りにくくなるので、このシステムだからこそ、アメリカでは女医も仕事をやめずに続ける事が多いのかもしれません。私の産休は1人目は6週間、2人目は8週間、共に出産の前日まで仕事をしていました。

母親も仕事をしていると、昼間は誰が子供の面倒を見るのかが大きな問題です。私の周りはベイビーシッターを使う人がほとんどです。朝仕事に出る時間から夜帰ってくる時間まで家で世話をしてくれるよいベイビーシッターがいれば安心である半面、長時間ベイビーシッターを使うにはかなりのお金がかかります。先日日本に帰省した時に友達と話をしていて、日本の公立の保育園の安さにびっくりしました。ニューヨークではよいデイケア(保育園)はこれまたかなり高いようです。私の家ではベイビーシッターさんと家仕事をしている夫、そこに時々日本から手伝いに来てくれる私の両親が子供たちの面倒を見ていてくれています母親が仕事を続けるには家族のサポートがかかせません。

結局は何を優先するかという事になりますが、パートタイムで働いている私の友達は研修医教育に積極的に関わったりしてそれなりに活躍しています。男女を問わず家族を大切にする事が普通に重視されている事や、オンとオフがはっきりしている事、研修を終えてスタッフになると病院泊る当直はほとんどなくなる事から、日本よりは女医が男性と同様に働いて認められやすい仕事環境であるという事になると思います。第一線で活躍する女医さんが多い事や、パートタイムで仕事を続けるというオプションがしっかりしているという点も、働きやすさにつながっていると思います。

5件のコメント

  1. はじめまして。今月からブロンクスのMontefioreで内科研修を始めたコルビン麻衣と申します。いずれは私も直面するであろう仕事と出産そして子育ての両立についての記事興味深く読ませていただきました。病院でも妊娠中の女医さんをたまにみかけますが、私もまだある程度若いうちに子供が欲しいと思う一方、産休をとると周りのレジデントやフェローに迷惑がかかってしまうのでタイミングが難しいな、というのが今の正直な気持ちです。それを考えてか私の同級生でも医学部4年時に出産した子が何人かいます。仕事(しかも循環器内科)と子育てを両立されてるゆみ先生は凄いです!

    • Colvin先生

      仕事と子育ての両立は働く女性にとっては永遠のテーマですよね。私も目標にしていたインターベンション専門の女医さんが、妊娠中もばりばり働いていたのに子供が生まれてからはパートタイムになってしまったのを見ていたので、自分もどうなるかな、と思っていたのですが、今のところ仕事はあまり妥協せずにやっています。(趣味の時間は全く取れなくなりました!!)最近の私の結論として、大切なのは家族のサポートと体力ではないかと思います。周りに迷惑がかかる事は気にしていたらタイミングを逃すのであまり考えない方がよいのではないかと思います。先生もがんばってくださいねー。

      • 「体力」というコメントに納得。大きいお腹で出産前日まで働いていたゆみ先生を見ていて、同じ女として誇らしかったですよ。私は育児どっぷりの生活で全く状況が違いますが、私も頑張ります!

        • >麻理さん

          「妊娠していたっていつも通り働いています、とアピールするぞー」というのは励みになっていたかもしれません。でもこれも妊娠もスムーズで健康でいられたからの事で、みんながそういうわけにはいかないですもんね。妊娠後期に入ってよく言われたのは、「うちのワイフは妊娠後期は体がきつくて訴えが多くて大変なのに、なぜそんなに元気なんだ?」という事。運と体力ですね、やっぱり。育児100%の生活も仕事を続けると同じように大変だと思います。お互い頑張りましょうー。

  2. 私の姉は今65才医者ですが,35才と,36才の時に出産、離婚シングルマザーで,子育て奮闘,子供達は,2人とも医者になりました。ベビーホテル、ベビーシッター,ナーサリー低学年の時は,送り迎え、お弁当(日本では)次の日までにぞうきん?? 作ってくるようにとか…日本は働くお母さんのことを考えていないと…。でも育てている時に,疲れたとか,・・愚痴は決して言いませんでした。自分の選んだ道と。=子育て女医のひとり言= というのを、メデイカル トリビューンに20数年前に連載していました。子供達はそれぞれ独立し勤務医です。だから,子供が出来たら何とかなるということですね(笑)。やっちゃうのです。姉に脱帽!! 女医さんの皆様がんばって下さい!!

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