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新道悠

ブログについて

日本でも徐々に拡がってきている緩和医療と、高齢化が進みながらもあまり馴染みの無い老年医学について、米国でのフェローシップを通じて学んでいく予定です。 私自身、卒後8年目での渡米で、日本での医療をよく知る医師の一人として、日米の医療の違いなども含めて、日本人の先生にシェアしていきます!

新道悠

2012年に千葉大学医学部を卒業後、福岡県の飯塚病院/頴田病院にて初期研修医と総合診療専門医(家庭医)の専門研修を行う。 卒後8年目の2019年よりNYのMount Sinai Beth Israel 病院の内科にてレジデンシーを行い、2022年からMount Sinai Hospitalの老年/緩和フェローとして勤務中。

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老年・緩和フェローシップのオリエンテーション開始!

私の所属するMount Sinai Hospitalの老年/緩和ケアプログラムは、超過密なオリエンテーションを行うことで有名(?)です。

今回は、その名物オリエンテーションについて、実況中継していきます!

アメリカでの老年/緩和フェローシップに興味のある方や、教育プログラムのオリエンテーションを考えている方などへの参考になれば幸いです!

別の記事で、個々の各論の学びについては特集していきます。

1週間の集中オリエンテーション!?

内科レジデンシーの時は、仕事前に半日簡単なオリエンテーションがあって、7月1日からいきなりフルで仕事でしたが、なんと老年/緩和フェローシップは1週間もオリエンテーションがあります。(多分フェローシップにもよる)

私のフェローシッププログラムは、全国規模でもかなり人が多く、私の学年だけでも25名の同期がいます。

というのも、老年/緩和だけで5つの別個のフェローシップトラック(1年の緩和/1年の老年/2年の老年リーダーシップコース/2年の緩和リーダーシップコース/2年の老年&緩和コース->筆者はコレ)があるためです。

このように、スタッフも含めて人が足りている事もあり、かなり教育に対して時間やエネルギーを割いてくれるのが特徴です。

 オリエンテーション1日目〜総論とアイスブレーク

1日目は、老年/緩和ケアに関する総論的な話とアイスブレーキング、病院のツアーなどでした。

多種多様なバックグラウンド

同期たちとのアイスブレーキングで驚いたのはその多様なバックグラウンドでした。

特に、緩和ケアは、最も一般的な内科/家庭医レジデンシーを終えたばかりの若手医師の他にも、救急、集中治療、神経内科、精神科などのより専門性の高い診療科での診療経験を経て、緩和ケアでの研修に来るパターンが多いのが特徴です。

オリエンテーション2-4日目:集中講義編

オリエンテーションの2-4日目は具体的なローテーションの解説に加えて、老年医学、緩和医療のそれぞれに対する基本知識の集中講義が入ります。

かなり厳選されたトピックを、講義/ワークショップ形式で一気に学ぶことができるのでとても勉強になりました。(老年/緩和ケアの両方を選択しているフェローは、基本全ての講義に参加するのでかなり大変でしたが)

この記事では、各日程で特に勉強になった講義と、その簡単な概要/学びについてまとめていきます。

(ただ、書き足りない部分も多いので、別な記事でもテーマを分けて後日まとめていこうと思います。)

その1:Hazard of Hospitalization(入院の有害性:老年医学)

( Ann Intern Med  . 1993 Feb 1;118(3):219-23.)

例えば「元々元気だった高齢の患者さんが、肺炎で入院して肺炎は治ったけど寝たきりになって、褥瘡ができて、認知機能も悪化して、結局家には帰れずに介護施設に退院することになりました」というシナリオ。

高齢の患者さんを病院で診療する方は必ずと言っても良いほど経験するのではないでしょうか?

Hazard of Hospitalization(入院の有害性)としての概念が提唱されて、いかに入院中の寝たきり状態が高齢の患者さんの体に悪影響を及ぼすのか(上の図)、そしてそれが長期にわたる機能低下(Acquired functional decline)、ひいては退院後の死亡率上昇に関連するのかを解説してもらいました。( J Am Geriatr Soc  . 2008 Dec;56(12):2171-9. )

それを防ぐ取り組みとしてのHospital Elder Life Program (HELP)、Mount Sinai Hospital でのMobile Acute Care for the Elderly (MACE) teamの取り組みについて講義を受けました。

かなり内容が濃かったので、別な記事で詳しくまとめようと思いますが、急性期病院における老年科医がどのように活躍しているのかよくわかる内容でした!

その2:オピオイド集中講義1&2 (緩和ケア)

緩和ケアの症状緩和の代表である疼痛緩和についての基本的かつ実践的な講義。

Mount Sinai Palliative Careのオリジナルの疼痛緩和カード(step by stepになっていて使いやすい)を使いながら、基本的なオピオイド(麻薬製剤)の選び方、投与量の決め方などを勉強しました。

2本立てになっており、2回目のレクチャーはワークショップ形式で、小グループでデモの症例を使いながら、急性の激しい疼痛緩和(Pain Crisis)のための麻薬製剤の初期投与量を決めたり、帰宅時の経口製剤へのローテーションのシミュレーションをしました。

英語の使い方で面白いなと思ったのは、Opioid(s)=麻薬製剤一般で、Opiate=天然のモルヒネとその関連薬(人工モルヒネ製剤を含まない)、Narcotics=警察/法律関連の麻薬を指す用語だということで、「結構アメリカ人の間でもあまり意識せずカルテに記載されているけど、Opioid(s)が正しいよ」とのこと。

他にもRapid Geriatric Assessment (老年医学)、Communication workshop(緩和ケア)など面白いテーマを取り扱ったので、別記事でまとめようと思います。

 オリエンテーション最終日:プログラムディレクターとの個人面談(老年&緩和)

オリエンテーションの最終日は、プログラムディレクターとの個人面談でした。

私の場合は、老年/緩和の合同プログラムのフェローなので、老年医学と緩和ケアの両方のプログラムディレクターと一緒に3者面談をしました。

SMARTなゴールを話し合う

事前にClinical、Teaching、Scholarly Activity/Researchについてのゴールを

SMART(Specific/Motivating to learner/Aggressive yet achievable/Related to vision/Time bound:Quality Improvementでゴール設定によく使われる手法)で考えてくるように言われました。

プログラムディレクターは二人ともMount Sinaiの老年/緩和フェローシップの卒業生で、些細な相談もかなり具体的にアドバイスをもらえてとても助かりました。

同じプログラムに長くいる先生の場合、「〜については**先生にコンタクトすると良いから紹介してあげる」と言った感じで、興味のある分野についてすぐにメンターを紹介してもらえるのでとても有用な面談だと感じました。

まとめ

Mount Sinaiの老年/緩和ケアフェローシップのオリエンテーションの概要をまとめてみました。

かなり濃密なオリエンテーションで、多くの学びがあったので今後も別記事でシェアしていこうと思います。

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