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中嶋優子

ブログについて

中嶋優子

東京都出身、札医卒。USNH Okinawaでインターン後しばらくは様々な職場で麻酔や救急, 浪人、アイスホッケーをしながらフラフラ。ある時、アメリカで救急のトレーニングをすることを決め、Yale Emergency Medicine Residency, UCSD EMS(Emergency Medical Services) and Disaster Medicine Fellow,Clinical Research Scholar Fellowを経て Emory University Department of Emergency Medicine Assistant Professor。Metro Atlanta Ambulance Service Medical Director。米国救急専門医, 米国EMS専門医。国境なき医師団日本副会長、麻酔科医・救急医として海外派遣にも参加しています。

お久しぶりです。だいぶ前回から時間が経ってしまいました。前回投稿時はEMSフェローでしたが今年8月よりエモリー救急部のファカルティーになりました。EMSフェローの後はなんとなく誘われるがままにClinical Research Scholar Fellowをする羽目になってしまいましたがやっと終わって良かったです。現在は幸せに仕事をしています!

エモリー救急部ではEMSセクションに所属し、仕事内容は臨床(シフト)80%、メトロアトランタという救急車会社のメディカルディレクター業20%、年に1ヶ月は国境なき医師団のミッションに行って良いという契約条件内容です。一応、アカデミックセンターなので教育と研究もします。1年間で決まった〇〇時間というシフトのノルマの勤務時間数があるのですがそれを x 0.8 (80%), これを11か月で割ったもの(国境なき医師団でいなくなる分を引いて)を月々働いています。月14シフトくらいのノルマなのですが詰めれば月に1週間くらいは続けて休みが取れますので毎月のように国境なき医師団の理事会、学会、講演などなどで帰国しています。下手に地方にお嫁に出た娘なんかよりちょくちょく実家に帰っています。米国の救急医はこのようにスケジュールがなかなかフレキシブルで子育て中、MPHやMBAなどの学校に行ってる、旅行が好きな人などなど、勤務時間が不規則なことを除けば割とQOLは良いので結構人気です。あとは私は現在100%フルタイムファカルティですが、例えば私が「月々のシフトを半分くらいにしたいな〜」という時は数カ月前に申請すればそのように変えられます(その分収入は減りますが)。フルタイム(100%) の半分以上(51%)の勤務をこなすと一応「フルタイム」の部類に入り福利厚生が普通にもらえるので51%でやっている同僚も多いです。あとは、研究費取得などで臨床で稼げる分を病院に提供できると”buy down time”と言って、収入そのままでシフトの数を減らしてもらえます。私の場合、メトロアトランタがエモリー救急部に私を雇用するお金を払ってくれているのでシフト数は何もない人に比べて20%減となっています。このbuy down timeをなるべく多くすると、もっとフレキシブルなスケジュールになります。その代わり、私はメトロアトランタのメディカルディレクター業の仕事(上層部の会議、Quality Improvement, トレーニング、プロトコルや導入機材の評価・改善に関わるなどなど)があります。私はもっとこのメトロアトランタにもっと入り浸ってメディカルディレクター業をもっとたくさんやりたいのですがなかなか十分な時間がありません。今は平均週1日くらいしか費やせていません

最近、今年9月末に受けた米国EMS専門医試験に合格しました。ACGME認定のEMS Fellowship(参照:前回の記事)を終了していないと受験資格が得られないのと2年に1回の試験でまだ3回しか施行されてない新しい専門医資格なので日本人初です!なかなか手強い試験で1回目は合格率50%台、2回目3回目は合格率60%台だったそうです。ちなみに実は私はこの試験、1回落ちています。前回(2年前)はMPHスクール通っていたり子宮筋腫絶頂時でHbが7くらいで慢性疲労だった時なのと、多少ナメてかかってたので鉄板のテキストブックも読まず、練習問題だけやって本番に挑みました。しかも試験範囲が終わらず前日徹夜したりして…。今思うとすげ〜チャレンジャーだったな、と思います。今回はちゃんとテキストブックも読んで挑んだので、手応えが1回目と全然違いました。やはり大きな試験はちゃんと勉強して挑むべきですね。

このEMS専門医試験の内容ですが、やはりメディカルディレクターとして必要な知識を問われます。受験者は既に全員救急専門医なので医学的な知識というより、EMS/Disaster Medicineに特化した内容となっています。具体的に言うと、メディカルディレクターとしてこういう状況の時はどうするべきか、こういう救急要請の時はどうするか、プレホスピタルや災害医療に関する法律、EMSの発展・変遷の歴史、プロトコル、ディスパッチに関する問題、パラメディックなどの教育・トレーニングについて、救急システムについて、EMS分野のリサーチ、Quality Control, 災害時の各組織の発動の手順、仕組み、誰がどういう状況で指揮をとるか、米国ならではのTactical Medicine(銃撃戦とかテロの時の警察などと協力して対応)、航空医療(法律、生理学など)などなど多岐に渡ります。米国EMSの各分野の重鎮達が書いたテキストブックから結構出ましたが、今回じっくり読んでかなり勉強になりました。EMSフェロー時代に読んでおけよって感じですね。1回目落ちて当然でした。ちなみに受験料、講義料など合わせて大体30万くらいかかります。落ちると水の泡です。私も30万水の泡として捨てました!

そんな私の最近の悩みは日本の救急の現場から離れてしまっていることで、日本の現在の救急の状況にイマイチ疎いということです。一応、アメリカから You Tube で「救命救急ナントカ24時(?)」みたいなものやドクターヘリ、ドクターカーを特集した番組とか観ています….。昔, 浦添総合病院でドクターヘリ設立時の初期メンバーとしてヘリに乗っていましたがあの頃はまだドクターヘリとかまだまだマイナーでした。今すごい流行ってるんだな〜とテレビ番組を見ていて感じます。今後、休みなど機会があれば日本の救急の現場も体験して勉強させてもらいたいと思っています。日本の救急は米国が真似したいところが実はたくさんあると思っています。誰か色々教えて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10件のコメント

  1. ご無沙汰しています!とても充実していそうですね。そういったフレキシブルな仕事が組めるのは本当に魅力的に思えます。日本でも、自分でキャリアを設計する自由度がより高まるといいのですが…ちなみに、日本ではEMSのメディカルディレクターに近いポジションはあるのでしょうか?

    • 反田先生、お久しぶりです。コメント有難うございます!そうですね、私の周りはみんなEmergency Medicine以外に何かしらやってる感じですね。日本は米国のように組織に一人のMedical Directorではなく、メディカルコントロール協議会というグループがメディカルディレクター業をやっているのが一般的だと思います。

      • なるほど、メディカルコントロール協議会というのがあるのですね。寡聞にして存じませんでした…確かに、日本の救急搬送は公的サービスなので、このような運用になっているのですね。救急搬送のあり方は日本でもかなり課題として挙げられて久しいですが、メディカルディレクターの観点からどういった改善ができるのか、検討してみるのも面白そうですね。

  2. ご無沙汰しております。今、エモリーなのですね。沖縄海軍の卒業生の先生もPICUにいらっしゃいますね。先日、連絡させていただきました。また、同じ南部のミシシッピにも沖縄海軍で中嶋先生の一つ上の代の先生も循環器でいますよ。南部どうし、もしもメンフィスにお寄りの際には是非お寄りください。メンフィスには日本人小児科医がたくさんいますよ。

    • 桑原先生、御無沙汰しております。先生はMemphisにいらっしゃるのですね。南部は初めてなのですが興味深いですね。PICUにUSNH Okinawaの先生がいらっしゃるのですか?なんて先生ですか?お会いしたいです。先生もアトランタにお越しの際はお知らせ下さいね!

      • 中嶋先生、メールの方に連絡させていただきました。いつか北海道とアイスホッケーのお話をできるのを楽しみにしております。

  3. 中嶋先生、はじめまして。ブログ拝見させていただきました。
    先生の経歴、働き方、私の理想としているものととても近いと感じメールさせていただきました。もし可能なら相談にのっていただけるとありがたいです。
    ブログの更新も楽しみにしています。

    • yama様、有難うございます!読んで頂いて嬉しいです。相談もちろんオッケーです。メールアドレスは:yuko.nakajima@emory.eduです :)。

  4. 中嶋先生、はじめまして!LA在住で今年メディカルスクールを受験する者です。アトランタは大雪のようですが大丈夫でしょうか。私も先生にメールさせていただいてもよろしいでしょうか?宜しくお願いいたします! Mari

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