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青柳有紀

ブログについて

アメリカで得られないものが日本にあるように、日本では得られないものがアメリカにはある。感染症、予防医学、公衆衛生学について、ニューイングランドでの日常を織り交ぜつつ、考えたことを記していきたい。

青柳有紀

Clinical Assistant Professor of Medicine(ダートマス大学)。国際機関勤務などを経て、群馬大学医学部医学科卒(学士編入学)。現在、アフリカ中部に位置するルワンダにて、現地の医師および医学生の臨床医学教育に従事。日本国、米国ニューハンプシャー州、およびルワンダ共和国医師。米国内科専門医。米国感染症専門医。米国予防医学専門医。公衆衛生学修士(ダートマス大学)。

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judgement call

スポーツの試合などで、客観的判断が難しい状況で審判が下す裁定のこと。転じて、臨床の場でも、客観的な判断材料に欠ける状況で主観的に下さざるを得ない判断のことをいう。

例えば、急性の化膿性関節炎疑いで救急部から整形外科入院になった患者についてコンサルトがあり、カルテやラボデータを見てみると、確かにERで施行された関節穿刺の所見には有意な白血球上昇をみとめるものの、グラム染色、培養ともに細菌は陰性。その後のオペ室での検体の所見も陰性。さらに調べると、ERで熱があったという理由でバンコマイシンとセフトリアキソンが穿刺前に投与されていたことが判明した。患者には遠い過去にMRSAによる軽度の皮膚感染症の既往があり、慢性腎機能障害がある。また患者はOPAT(outpatient antibiotics treatment:自宅での抗菌薬治療)を強く希望し、亜急性期対応のリハビリ施設への入所を拒んでいる。こちらとしては、できるならバンコマイシンなしで4週間治療したいが...。というような場合に、様々なリスクとベネフィットを考慮して、最終的にどの抗菌薬を選択するかという判断はjudgement callだったりする。

 

(「IDな英語」では、アメリカの臨床感染症の場でよく使われる言葉を、ちょっとした周辺知識も交えてご紹介します。)

2件のコメント

  1. 次回以降に、OPATを「IDな英語」で取りあげまーす!

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