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アメリカで心と体の健康を守るために知っておきたい、ちょっと小耳にいい話。アメリカの複雑な健康保険のシステムとその制限されるサービスとは。心の病気とその治療法とは。薬物依存症の症状とその治療法とは。メディカル・ソーシャルワーカーから見た、アメリカで驚きの医療とメンタルヘルスの現場を生レポートします。

ファーマー 容子

報道記者&ラジオ番組制作を経て、New York University Master of Social Workを取得。Bellevue Hospital勤務後、ワシントンDCへ。George Washington University Hospital勤務。現在、NY州ロチェスターで育休中。

ファーマー 容子のブログ
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2012/06/07

アメリカの医療保険101~Medicare 編

今回はアメリカの公的保険Medicareについて説明します。アメリカでは65歳以上の高齢者は、Medicareという公的保険を受給する資格があります。ただし、アメリカ市民権を持たないグリーンカード保持者は、本人あるいは配偶者が、およそ10年に渡ってMedicare Taxを支払っていなければ、Medicareを受給する資格がありません。

Medicareは大きくpartAとpart Bに分かれます。PartAのみ、無料で取得できます。Part Aは病院の入院・入院治療費がカバーされます。また、患者が別の施設で引き続き抗生物質の点滴治療、創傷ケア、理学療法などが必要な場合などもカバーします。

Part Bは外来での治療がカバーされます。PartBを購入するかどうかは患者次第です。Medicaidでカバーされた自宅での看護と介護サービスですが、Medicare Part Bはそのサービスの一部をカバーします。自宅での介護サービスといっても基本的に週に2~3回、訪問時間も1~2時間と必要最小限のサービスしかカバーされません。また、医療器具に関しても80%しかカバーせず、残りの20%は自己負担になります(民間保険を持たない場合)。

PartAとPart Bは薬代をカバーしません。薬代をカバーするにはPartD、あるいは薬代をカバーする保険が必要です。Part Dも購入するかどうかは患者次第です。しかしPart Dがカバーする薬には限りがあります。特に注意したいのが抗生物質です。PartDでカバーされる抗生物質は数える程度しかありません。例えば、自宅で抗生物質の治療を受けたくとも、抗生物質の薬代・その治療に伴う医療用品が高額のため、泣く泣く施設へ行って治療を受けなければいけないという状況になります。

ただし、患者がMedicareの他に、民間保険を持っている場合は別です。Medicareでカバーされない分が民間保険でカバーされます。ただし、その加入している民間保険でカバーされない分は自己払いになりますので注意が必要です。

多くのアメリカ人がMedicareは終身・介護サービスをカバーすると誤解します。Medicareは施設での終身介護サービスをカバーしません。施設でのサービスは最大100日のみになります。ポイントは21日目からは自己負担の支払いが生じるということです。例えば、病状によって、20日以上施設での治療が必要な場合にはお金がかかるのです。民間保険を持っている場合はまた別です。Medicareのカバーを使いきった時、民間保険を使うことができるからです。しかし、民間保険のサービスにも限度がありますので注意が必要です。

年々、母国の両親をアメリカに呼び寄せる外国人が増えてきました。両親がグリーンカード保持者としてアメリカに5年以上滞在していた場合は、Medicare Part A 及びPart Bを購入するチャンスがあります。Part A 及び Part Bを購入するには、毎月およそ$500の支払いが必要です。

65歳を過ぎて高額な保険料を毎月支払うことは家計に打撃を与えます。しかし、アメリカで老後を過ごす人にとって、Medicareと民間保険の両方を持つことは必要不可欠だと言ってよいでしょう。

16件のコメント

  1. 渡邊哲子 より:

    ファーマーさま:

    ボストンで「日系ボストニアンサポートライン」という24時間ホットラインを主宰しております渡邊と申します。わかりやすい文章と簡潔で大事な内容でいつも楽しみに拝見しています。今回の記事で一点質問です。両親のMedicare AとBを500ドルで買えるということは、本人か配偶者が10年税金を納めていなくても永住権を5年持ち500ドルを払えばやはりAとBを買えるという理解で宜しいでしょうか。
    よろしくお願いします。

    • ファーマー 容子 より:

      渡邊様。質問ありがとうございました。里帰り中だったため、返信が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。ワシントンDCとバージニア州では、現在のところ、本人及び配偶者がMedicare Taxを納めていなくても、アメリカに5年以上住む65歳以上のグリーンカード保持者には、Medicareを買えるチャンスがあります。ただ、個人の経済状況(例えば、ソーシャルセキュリティーチェックを受給しているかなど)、また、州によって応募条件や値段が違う場合がありますのでご注意ください。800-MEDICARE (1-800-633-4227)に問い合わせてみるとよいと思います。また、Pre-Existing Condition Insurance Plan という健康保険もあります。名前の通り、持病のある方で健康保険に加入できない方が購入できる保険です。この保険は、健康保険を6カ月以上持たないアメリカ市民及びグリンカード保持者が購入できます。ただ、この保険も州によって応募方法と値段が違うのでご注意ください。余談ですが、全米のどの病院でも保険の持たない入院患者に対して、チャリティーケースとして入院費用の全額負担あるいは割引などのサービスが受けられるはずです。これは、Emergency Medicaidとは異なるサービスです。個人的には、病院側がその費用を負担することから、あまり大々的には宣伝されないのかなと思います。ただし、これも、個人の経済状況によって異なりますので注意が必要です。病院の受付、あるいは、ソーシャルワーカーに問い合わせてみると良いと思います。

  2. 渡邊哲子 より:

    ファーマー容子さま。ご丁寧なお返事有難うございます(今頃気付いてすみません!)よくわかりました。また色々ご教示いただくことも多いと思います。今後とも宜しくお願いたします。渡邊

  3. 中根喜美子 より:

    Medicareについて、わかりやすい解説をありがとうございます。
    私はもうすぐ65になりますが、元気にアメリカの公立学校で働いていて、学校の健康保険を持っています。私の場合、メディケアに加入する手続きを、学校をリタイアするまで待つことは可能なのでしょうか。お答えいただければ幸いに存じます。

    • ファーマー 容子 より:

      中根様 お返事が大変遅くなり失礼致しました。質問の答えですが、定年退職される時期を65歳以上に伸ばす場合、もちろん、Medicareに加入する手続きを待つことは可能です。66歳まで待てばソーシャルセキュリティーチェックもフルで支給されます。ただ、中根さんがアメリカ市民権を所持しているかどうか、あるいは、グリーンカード保持者であれば、これまで十分にMedicare Taxを支払ってきたかなどの条件によって変わってきます。

      ここからは、中根さんがアメリカ市民権を持っていることを前提にお話をします。一般的に65歳になる誕生日の3ヶ月前にMedicareからのお知らせレター、あるいは、赤色と青色のMedicare カードが自動的に送られてきます。また、Medicare Part Aは無料で加入できることから、Medicare Part Aだけは、65歳を迎えた時に加入するということが薦められています。

      仮にMedicare Part Aの加入を65歳を迎える/迎えた期限中(7ヶ月中)にされなかった場合は注意が必要です。加入が遅れたことでのペナルティー料金の支払いが発生するためです。Medicare Part A・Part Bに加入できる時期は毎年1月から3月の間です。また、Medicare が有効になるのは、その年の7月1日からになるということも重要なポイントです。例えば、中根さんが定年退職を67歳まで引き延ばしたことにします。中根さんが最も注意しなければいけないのは、67歳になる年にMedicare Part Aの加入を期限中にすること、そして、定年退職を少なくともその年の7月以降にしなければいけません。なぜならば、先ほども申しあげたように、Medicare Part Aが有効になるのが7月からです。それまで学校からの健康保険を保持していなければ、仮に4月1日に定年退職されたとすると、4月2日から6月30日までは保険がないことになります。

      次に、仮に、中根さんがMedicare Part Aに今加入する場合です。必ずHRに問い合わせをしてください。Medicareを所持する人は基本的にMedicareがPrimary Insurance =つまり最初に使う健康保険になります。ところが、Medicareを所持していても、 private insurance を持っていれば=(この場合は65歳を過ぎても働いていれば)、Private insurance がPrimary Insurance になります。つまり、Medicare Part Aに加入することによって、今のお持ちのprivate insuranceがどのように変るのか、それとも変らないのかを確認する必要があります。特に注意が必要なのは、Medicareを取得することで、Private保険が合体したMedicare HMOというプランです。 この合体型の保険に加入する場合は、事前に、そのベネフィットの確認が必要です。例えば、施設での治療、 リハビリなどの入院日数、自宅での治療、その治療に必要な看護婦、医療器具、医療費、薬代など、保険が何%カバーしてくれるのかをチェックすることをお薦めします。

      長くなりました。 Medicareについては、規制が変わることから、Medicareに直接電話をされるか、一番良いのはHRに直接お話しを聞いて決められたら良いと思います。個人的な意見ですが、現行のMedicareを考えると、65歳を過ぎた場合は、Medicare Part A/B とprivate insurance、そして、long term care insurance/life insurance を持っていることはとても重要だと思います。

  4. 白羽今日子 より:

    Medicare申請をするにあたり、参考資料がないかと検索をしていると、容子さまのブログに行き当たりました。日本人にとってはとても複雑で理解しずらいMedicareのシステムを簡潔にまとめていただき、大変ありがたく拝読させていただきました。そこで、Medicareに詳しい容子さまに質問をさせていただきます。Medicare Part A, Part Bの申請をSocial Securityのオンラインにて申請をしています。申請に必要な書類として「Original Birth Certificate」の要求がSocial Security Officeよりありました。既にアメリカ国籍は取得しているのですが、生まれた国(日本)のBirth Certificateが必要なようです。この場合、日本の戸籍謄本で英訳にしたものを取り寄せる必要があるのでしょうか?

    • ファーマー 容子 より:

      白羽様 Medicareを申請する際、”年齢”確認のためにbirth certificateの提出が必要になります。アメリカ国籍、あるいは、永住権(グリーンカード)を申請する際に提出した出生証明書のコピーはお持ちでないでしょうか。あるいは、白羽様がどちらの州にお住まいかわからないのですが、NYの大使館やワシントンDCの大使館では、出生証明書を取得することができます。

      http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/c/shussei_shoumei.pdf
      http://www.us.emb-japan.go.jp/j/certificate/cer_birth.html

      ただし、過去にこういう例を扱ったことがあります。アメリカ人の入院患者さんのbirth certificateを取得する際、彼女はカンザスシティの生まれでしたが、彼女のbirth certificateを管理していた書庫が、その昔、火事で燃え取得できず、代わりに、彼女の高校のdiplomaを使用してmedicareを申請したことがありました。また、中国人でグリーンカード保持者の患者さんの場合は、彼女のパスポートを使用しました。注意して頂きたいのは、住んでいる州や群のsocial secutiy officeによって対応が異なる可能性があります。白羽様のお住まいの管轄であるsocial security officeに、パスポートや運転免許書などで代用できるか聞いてみる価値はあるかと思います。

      • 白羽 今日子 より:

        容子様

        返信のご連絡が大変遅くなり、申し訳ございません。
        結局、アメリカ市民権のProofのみ持参でOKでした。2015年12月に管轄のSocial Security OfficeでApplyをし、同月、無事、Medicare Cardを受取ることが出来ました。
        いろいろとご教授いただき、心より感謝します!

  5. Hitomi Polcyn より:

    私はアリゾナ州に移住して 60歳になります。
    主人はアメリカ人ですが、2014年の11月に事故で57歳でなくなりました。
    私と19歳になる娘は4年半まえにグリーンカードをとってアメリカに来ました。
    もう少しで5年になるので市民権の申請も考えています。
    主人は20年以上日本に在住し2011年に帰国しました。主人のSSA からは全く年金保障はありません。
    現在アメリカのmedicareについて悩んでいます。
    長い間病気のために普通の仕事はできない状態です。
    私のcreditが10-18creditしかありませんが、今からでも残りのcreditをとって40credit
    にするチャンスがあるでしょうか。SSAでもう一度creditの確認をしますが、私の年齢で40creditを出来るか心配です。現在はオバマケアーを通じて健康保険に加入しています。
    収入は賃貸家賃の収入とベビーシッターの収入です。
    55歳以後毎月$500の出費はつらいので相談しました。よろしくお願いします。

    • ファーマー 容子 より:

      Hitomi様、ご質問ありがとうございます。事故で突然ご主人様を亡くされたとのこと、Hitomi様の悲しみやこれからの経済的な不安を思うと言葉がでません。残念ながら、Hitomi様の質問である、クレジットの件ですが、専門外のため、お答えすることができません。ただ、これからお話させて頂くことが少しでもお役に立てるといいのですが。

      まず、ご自身のsocial security予想額を現在、オンラインでみることができます。自分のsocial serucityが一体いくらなのか、自分が亡くなった時の配偶者と子供への受給額なども見ることができます(Estimated Benefitsという項目)。ただし、ご主人様がお亡くなりになっている今、ご主人様の記録をオンライン上でみられるのかはわかりません。同じくEstimated Benefitsという項目の下の方にある、Medicareの項目でクレジットも確認できます。

      https://www.ssa.gov/myaccount/

      Hitomi様は、ご主人様からはまったく年金保証がないとありますが、ご主人様からのRetirement BenefitsやSurvivors Benefitsはいかがでしょうか。20年以上日本に住まわれていたとのことですが、日本に渡る以前に、ご主人様がアメリカでの就職歴があれば、social securityを少額であったとしても納めている可能性があります。

      以上の話、Hitomi様が既にご存知であり、お調べになっていたならば大変失礼を申し上げます。以上の知識しか、残念ながら持っておりません。

      ニューヨークには、日米ソーシャルサービス(JASSI)という日本人向けのサービスがあります。ビザのこと、法律のこと、また、高齢者のための情報など、様々なサービスを提供しております。Hitomi様はアリゾナのお住まいですが、ご相談される価値はあるかと思います。

      http://jassi.org
      連絡先212-442-1541

  6. 中島 より:

    とっても詳しい説明で助かります。メディケアは市民権または永住権を取得してから5年で申請可能でしょうか?たとえば、シニア学生等でこちらにすでに5年滞在していた場合、その5年も含まれますか?回答頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

    • ファーマー 容子 より:

      中島様がシニア学生、F1ビザでの滞在5年と、シニア学生でも市民権、あるいは、永住権を取得してからの滞在5年とでは、ソーシャルセキュリテイー番号の有無も含めて違うと考えられます。

      メディケアを購入するためには、市民権や永住権を取得していることを前提に、65歳以上である;5年間以上、アメリカに継続して住んでいる;市民権、永住権をとって間もないために、ソーシャルセキュリティの支払いが不十分であるということなどがあげられます。

      ただ、アメリカには様々なケースがありますので,中島さんの状況を説明しての確認が一番良いかと思います。メディケアの番号は1-800-633-4227になります。

  7. Robyn より:

    初めまして。現在米国在住ですが、SSNはなく、カリフォルニアではブローカーより個人保険を購入しましたが、アリゾナへの引越しを考えています。最近聞いた話ではルールが変わり、個人で医療保険を買うのは難しいとも聞きました。アリゾナで私のようなビザはあるが、SSNがない居住者は医療保険の加入が可能なのでしょうか?何か情報をお持ちであれば、いただけると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

    • ファーマー 容子 より:

      大変遅くなりました。visaはあるけれど、SSNがないということですが、visaがあって、SSNがないとなると、F1visaになるのでしょうか?F1visaであることを仮定すると、F1visaを発行してくれる学校の提供する健康保険があると思います。基本的に割高な為、学生には不人気ですが、語学学校、大学、大学院によっては、健康保険を払わなければ入学できない学校もあります。また、アメリカは、州やカウンティーによっても、個人で加入する健康保険の要件や条件が異なり、診療のカバー内容も含めて、支払いする医療保険料金も異なります。個人で加入できる健康保険の種類について情報を集めるには、ご自身の住む場所に最も近い大きな病院の「ER」インフォメーションデスクで、個人で加入できる健康保険のリストを取得することです。病院によっては、健康保険のリストあるいは、リストがあっても最新情報がないということもありますので注意が必要です。オバマケアの下でも、ペナルティーを払う方が健康保険を購入するよりも安いといって健康保険を所持しない方もいらっしゃいます。低料金で医療を受けられる診療所がないかどうか聞いてみるのもありだと思います。

  8. Koichi Morikawa より:

    下名、1984に渡米してUS企業で就業開始、1989年11月に永住許可証を取得しました。2007年10月末の退職まで勤め上げ、2008年8月に日本に帰国、2011年に永住許可証をアメリカ大使館に返納いたしました。その後、2015年にSS年金を申請し、2014年の11月に溯つて支給が開始されました。 時をおまじくして Medicare Card, Part A onlyが送付されました。 今回、日本国内で心臓疾患で入院し、費用が嵩みましたので、私のような経歴の持ち主も、アメリカ医療制度の補てん対象になりますでしょうか? ご教授ください。
    森川

    • ファーマー 容子 より:

      森川様。心臓疾患でご入院されたとの事、くれぐれもご自愛くださいますよう、お祈り申し上げます。詳しいご事情が分かり兼ねますが、残念ながら、Medicareから治療費の補てん請求は非常に難しいかと思われます。まず1つ目の理由は、アメリカの病院では、州に関係なく、Medicareで入院するとなると、Medicareガイドラインに満たす病状が必要です。医師の詳細な診断とその病状がMedicareガイドランを満たさなければ、病院での検査を含めて、入院すらできないのです。入院できるのか、それとも、猶予3日間のオブザベーションとして経過をみるのか、医師たちは48時間以内に結論を迫られます。よって、Medicareが入院治療費をカバーするには、入院された日から退院する日までの医師の詳細な診断と病状がMedicare ガイドラインに満たすこと、そして、その内容を監査するナースケースマネジャーの診断評価証明も必要です。次に、日本で入院されていた時に、Medicareを使うには、森川様の居住国がアメリカでなければいけません。森川様が日本の保険をお持ちでしたら、おそらく厚生年金保険でしょうか?であれば、高額医療費支給申請書を申請すれば、所得に応じて、月の入院費の自己負担額が軽減できます。また、森川様が生命保険などお持ちでありましたら、保険内容によって、入院給付金の申請もできます。高額医療申請書や入院給付金申請書に必要な医師の診断書は、手数料がかかりますが、退院時に病院で、あるいは、郵送で取得可能です。

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