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アメリカで心と体の健康を守るために知っておきたい、ちょっと小耳にいい話。アメリカの複雑な健康保険のシステムとその制限されるサービスとは。心の病気とその治療法とは。薬物依存症の症状とその治療法とは。メディカル・ソーシャルワーカーから見た、アメリカで驚きの医療とメンタルヘルスの現場を生レポートします。

ファーマー 容子

報道記者&ラジオ番組制作を経て、New York University Master of Social Workを取得。Bellevue Hospital勤務後、ワシントンDCへ。George Washington University Hospital勤務。現在、NY州ロチェスターで育休中。

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2012/05/22

アメリカの医療保険101~Medicaid 編

日本には誰もが医療サービスを受けられる公的な保険、国民健康保険が存在します。一方、アメリカの公的保険は誰もが入れるわけではなく、その仕組みも複雑です。アメリカの公的保険にはMedicaid(低所得者や身体障害者向け)とMedicare(65歳以上の高齢者向け)があります。しかし、これらの公的保険を受けるには、数々の条件を満たさなければなりません。

今回はその一つMedicaidについて説明します。Medicaidは低所得者や身体障害者に発行されます。所得のない妊婦や子供、そしてお年寄りも含まれます。Medicaidの仕組みが複雑なのは、州ごとに、そして群/自治体によっても、その応募資格と応募条件が異なるということです。なぜなら、Medicaidは各州の懐事情に大きく影響されるからです。

Medicaidは基本的にアメリカ市民のみに適用される保険です。しかし、例えば、ワシントンDCやメリーランド州の住民で、アメリカに5年以上住むグリンカード保持者は、応募資格・条件を満たせばMedicaidを申請することができます。一方、バージニア州の住民はアメリカ市民のみMedicaidの応募が許されます。当然ながら、ワシントンDC発行のMedicaidはワシントンDCのみで使える保険であり、隣接するメリーランド州やバージニア州では使えません。

Medicaidは外来・入院・手術・薬代・医療器具などを含める治療代を基本的にカバーします。現時点でのMedicaidの最大の魅力は、アメリカの公的・民間の健康保険の中で唯一、患者が条件を満たせば、施設での終身医療・介護をカバーする点です。また、自宅での抗生物質の点滴、中心静脈栄養、創傷ケアなど看護訪問サービスもカバーします。さらに、障害を持つ寝たきりの患者は、自宅での介護サービス(食事の準備、バス・トイレの補助、身の回りの掃除)が受けられます。医師の診断を元に、週5日から週7日、1日4時間から最大8時間をカバーするのもMedicaidの特徴です。また12~24時間の自宅介護サービスも場合によっては可能であり、そのサービスをカバーするのは公的・民間保険の中でMedicaidのみです。

Emergency Medicaidというものがあります。名前のごとく、保険を持っていない人が治療をしなければ命にかかわるような緊急の場合に発行される保険です。Emergency
Medicaidが適用されるのか、されないのかの判断には2~3ヶ月かかり、残念ながら、Emergency Medicaidが適用されない場合の方が多いのが現状です。つまり、Emergency Medicaidが適用されない場合は、その治療代の請求書が患者に届きます。

一日の病院の部屋代金がいくらかご存知でしょうか?病院によって異なりますが、一般病棟は$2500から、脳神経外科などの特別病棟になると$6500から、集中治療室になると$8000からになります。このお値段、ベット代のみです。これに、治療費、薬代、食事代などが加わります。

アメリカでは高額な医療費のため自己破産という話を耳にします。Medicaid
もEmergency Medicaidも所得のほとんどない人に当てはまる保険です。所得のある人にはまず適用されません。現在、アメリカでは民間保険への加入は義務化されておらず、民間保険の加入はその人の自己選択および自己責任ですが、アメリカで健康保険のない生活というのは、それは、大きな博打を打つことと同じことなのです。

4件のコメント

  1. Sumiko Ozawa より:

    大変参考になりました。ありがとうございます。主人がリタイアしたので、保険がなくなりました。主人は65才なのですが、私はまだ63才です、今日急いで、手続きに行きましたら、オバマケアーではなく、私はMedicaidと言われ、調べていました。
    糖尿病なので、ちょっと心配になってきました。文を読んで安心しました。

    • ファーマー 容子 より:

      詳しいご事情がよくわからないのですが、Medicaidを取得するには審査があり取得まで時間がかかります。また、Medicaid取得者は、SSI=Social Security Incomeという収入を毎月受け取ることができます。最も気をつけなければいけないことは、Medicaidといっても、Managed care Medicaid の可能性があり、いわゆるStraight (regular) Medicaidとは、医療カバーの内容が大きく異なります。Ozawa様の取得されたMedicaidがManaged Care Medicaidであれば、細心の注意が必要です。特に、入院された後に必要な在宅医療サービスについて、その薬代や医療器具の料金、訪問ナースサービスの有無、在宅医療サービスを受けられる期間、また、退院した後に受け入れ可能な施設が近くにあるのか、そして、最低限、施設で治療を受けられる期間とその料金などをしっかり確認する必要があります。Managed care Medicaidを取得されている場合は、医師に、Straight Medicaidではなく、Managed care Medicaidである旨を伝えることをお勧めします。なぜなら、それだけ、同じMedicaidと言っても、そのサービスにかなりの違いがあるからです。また、糖尿病にかかる薬代や器具なども、Straight Medicaidであれば、医師の別紙のサイン証明が必要な場合があります。Managed care medcaidであれば、薬によっては、カバーされるものとそうでないものがありますので注意が必要です。

  2. MIYO Yagi より:

    現在70歳です。シングルです。娘夫婦と同居をしています。扶養手続きは却下されました。働いてはいませんが、日本の所得が125万ほどありAmericaに送金されます。greencard取得は2017年12月で年数が短いのですが、現在保険が無く困っています。
    持病が無いため条件が不利なようですが、この先は年齢的に不安です。私のケースの場合でも加入をする保険はありますか?民間の保険は高くて生活が出来なくなります。adviceを宜しくお願いします。

    • ファーマー 容子 より:

      Miyo様

      Miyo様のお住まいの州、CountyのSocial Security officeでMedicaid, Medicare の取得が可能かどうか、また、Medicare Part A/Part Bにお金を出せば加入できるのか、その値段も含めて聞いてみることをお勧めします。日本の所得がどのように影響するかはわかりかねます。NY州では、現在、健康保険を1年通して3ヶ月以上持たない場合は、確定申告の際に、罰金が課されます。州によって違いますが、民間の保険も様々です。ので、民間の保険も値段、そして、どのようなオプションがあるのかを慎重に検討されることをお勧めします。

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