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「日米腎臓内科ネット活動ブログ」で腎臓に関する話題を中心に書いています。「日米腎臓内科ネット」は、腎臓内科における臨床教育、研究、移植の発展に興味を持つ日米の医療関係者が、メーリングリストやブログ、セミナーなどを通じて情報交換をしていくことを目的とした団体です。

三枝 孝充

米国NY生まれ。10歳で日本へ戻り帰国学級でリハビリ後、何とか大学を卒業。防衛医科大学校病院などで研修をし、2006年にN programのサポートを得てNYの Long Island College Hospitalで内科研修、2009年からMedical U of South Carolinaで腎臓内科研修中。日米腎臓内科ネットメンバー。

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2011/12/22

Professional Development Seminar (その2)

Professional Development Seminar (その2)

医療やサイエンスはきわめて発展の早い分野ですが、それに携わる科学者や医師の多くは時代遅れのアプローチを取っていることが多いことに警鐘を鳴らすレクチャーがありました。サイエンスとビジネスにおけるイノヴェーションは同等のレベルで考えていないことが多いわけですが、その最大の理由は医師は多少生産性が悪くても職を失わないからなのだと個人的に思います。
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科学者に必要なinnovation/motivationに関してDan PinkがTEDで面白いプレゼンをしていますのでみてください。あるアイデアから始まり、実験、薬の開発、治験、実用化とサイエンスはもはや独立した分野ではなく、ビジネスと大きくかかわっています。遺伝学や臨床治験データなど膨大な情報量の共有、実験は同時に多数の人間とコラボレーションをし、その行程を場合によってはアウトソースしたりする。ボスから与えられた研究テーマを地道に一人ラボで行うのは21世紀のアプローチではなくなっているのかも知れません。発展する科学をリードする科学者に必要なのは 1)Autonomy (自主性) 2) Mastery (精通性) 3) Purpose (目的) をしっかりと備えていること。そしてこのプレゼンでも繰り返し出てきますが ”There is a mismatch in what science knows and what business does” というのは事実かもしれません。

実際、医師や科学者がinnovativeになるにはどうしたらよいかということに関しては難しいのですが、ここでも出てくるグーグルの話は我々にとって大事な要素だと思います。グーグル社員は勤務時間の20%を“仕事と全く関係のない”ことに費やすようになっていて、実際、彼らの新しいアプリケーションやアイデアの半分はこの20%の“全く関係のない”時間から生まれているそうです。日々の診療や研究に忙殺されている医師や科学者にとって容易な課題ではないのですが、世界経済が落ち込み、リサーチに費やされるお金もカットされている今、”innovative mind” を持ち続けることは大変重要なことだと思います。

T.S

4件のコメント

  1. 藤林 保 より:

    科学の発展は人類に幸せをもたらすのでしょうか。行き着くところは合理性とお金ですね。発展させるのに躍起になるのはやはりお金ですか。地球中がお金に振り回されていませんか。地球も小さくなって宇宙に出て行く時代です。いいことなのでしょうか。

  2. 三枝孝充 より:

    コメントありがとうございます。
    私は「科学の発展は人類に幸せをもたらす」と信じたい一人です。少なくとも医師として働いている以上そう思います。こうやってネット上で意見交換ができるのも科学のおかげです。科学の発展にはお金は必要です。科学者はビジネスマンである必要はありませんが、自立性と目的を明確に持ち、幅広い視野を持って専門性を追求することは大事だと思います。ですが、米国の医療はお金と合理性を追求した結果、悪い面が目立ちます。新薬や高度医療は良い保険(お金持ち)を持った人しか受けられないですし、医師も治療内容よりもそれが保険で賄われるかどうかと言ったことに言及することはしばしばです。また悲しいことに現代医療に結びつくサイエンスは高額化しています。アメリカの高額化した医療業界をどうしたらよいか、困ったことに、この国は解決策がないの現状です。言われるようにこれは合理性とお金を追求した結果なのかもしれません。

  3. 浅井 章博 より:

    >ボスから与えられた研究テーマを地道に一人ラボで行うのは21世紀のアプローチではなくなっているのかも知れません。

    身にしみる言葉です。レジデントを経て久しぶりにラボでの仕事に戻ってきたのですが、5年の間にいろんなことがアウトソースできるようになっているのに驚きました。バイオテック会社から買える物もたくさんありますし、細かい条件設定なしでも結果が得られるキットが沢山あります。オンラインで得られる実験テクニックの情報量も桁違いです。昔のように丁稚奉公で体得するような職人芸の技術じゃなくなってきているのはひしひしと感じます。それよりも、プロジェクトの方向性、つまり説得性、有効性を見極めるというトレーニングがより大事だと思います。NIHの予算がどんどん削られている様な時代では、そういったスキル無しでは生き残れないと感じています。 

    とはいっても、そういったスキルが、科学の、そして人間の知性の本当に素敵な一面から、若い人々を離して行ってしまうことも残念ながら事実だと思います。

    • 三枝孝充 より:

      >そういったスキルが、科学の、そして人間の知性の本当に素敵な一面から、若い人々を離して行ってしまうことも残念ながら事実だと思います。

      これはどの分野でも同じように心配されることのようです。科学者の育成に敷居を高く設定しすぎてもだめですし、今のままでも不十分と言われ、まったくもって大変なことです。

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