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ブログについて

大阪出身の妻と2児の子育て奮闘中。子育ては最高の小児科学の教科書です。モットーは“think globally, act locally, and love your family”。小児神経発達学・医学教育を世界で学び、グローバルな視野を持つ後進を育成することが夢です。

桑原 功光

北海道出身。2001年旭川医科大学卒業。1年間の放射線科勤務の後に岸和田徳洲会病院で初期研修。都立清瀬小児病院、長野県立こども病院新生児科、在沖縄米国海軍病院、都立小児総合医療センターER/PICUと国内各地で研鑽。岸和田徳洲会病院小児科を経て、2012年度からハワイ大学小児科レジデント。2015年7月よりテネシー州メンフィスで小児神経フェロー開始。

桑原 功光のブログ
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2016/06/28

実習医学生・臨床留学者のためのメンフィス基本情報 医学編

メンフィスには私も所属しているテネシー大学があります。小児神経科のトレーニングの中心病院は各科で全米のベスト小児病院にも選ばれた Le Bonheur Children’s Hospital(ルボーナー小児病院)です(下記リンク参照)。小児神経科医グループのトップは全米で有名な小児てんかん医 Dr.James Whelessです。2015年度の小児神経科グループの実績は、外来数 12454人、脳波 3196件、fMRI 112件、脳磁図(MEG) 68件、経頭蓋磁気刺激療法(TMS) 47件でした。EMU(てんかんモニタリングユニット)の入院も460件と数が多く、連日、難治てんかんのこどもが入院してきます。

また、同じメンフィス内には世界最大の小児ガン病院である St.Jude Hospital があり、世界中から多くの小児ガンの子がメンフィスに治療にやってきます。St.Jude Hospitalから手術が必要な脳腫瘍のこどもは全て Le Bonheur Children’s Hospital に搬送されて、術後は小児神経集中治療室(神経専門の集中治療室。全米でも全てのこども病院にあるわけではない)で経過を診ています。2015年度は183件の脳腫瘍手術が行われており、全米1位の規模を誇ります。St.Jude の脳波全ても私たち Le Bonheur Children’s Hospital の小児神経科で読んでいます。

メンフィス市内にあるLe Bonheur Children’s Hospital と St.Jude Hospital は弘前大学と長年の交流があり定期的に医学生が来ているほか、この春より富山大学、筑波大学からも実習に来ています。医学生に会うと例外なく聞かれる質問は「卒業したら大学病院に入るべきか、研修病院に入るべきか」です。

どんどん医療はグローバル化していており、日本特有の問題である大学(医局) VS 研修病院といった二元論では、日本の卒後臨床研修は、世界の潮流に乗り遅れるかもしれません。何よりも、大学(医局) VS 研修病院といった二元論には、一番大事な患者への視点がしばしば欠けています。「あなたはどんな医師になりたいのか、その施設ではどんな研修医を育てたいのか、あなたはその施設と患者たちに何を貢献できるのか」といったビジョンの方がもっと重要です。否応がなく自分たちの医療が周囲と比べられる時代になってきた情報社会の現代では「最良・最大のアウトカムを捻出できる環境を研修医に提供できる」施設が大学(医局)、研修病院に関わらず、今後も研修医を集めていくことになるのでしょう。ただ、現行のシステムでは、臨床留学を目指す場合は医局よりも研修病院に進んだ方が、将来の足かせがない分、臨床留学を実現できるチャンスが多いといえるでしょう。

最後に、昨月、富山大学から Le Bonheur Children’s Hospital に3人の医学生が実習に来ました。小児循環器トップDr.Towbinは、もともとテキサス小児病院・シンシナティ小児病院というアメリカトップの小児病院で小児心移植を立ち上げた方です、メンフィスで小児心移植を立ち上げるために、2年前に赴任されました。

Le Bonheur Children’s Hospitalホームページ
① 紹介ビデオ
 https://www.youtube.com/watch?v=JPfw2oV9CWU
Heart Institute
 http://www.lebonheur.org/our-services/heart-institute/
Dr. Towbinプロフィール
 http://www.lebonheur.org/for-providers/physician-publications/delivering-on-a-promise/spring-2015/profile-jeffrey-a-towbin-md.dot?utm_source=Facebook&utm_medium=Newsfeed&utm_content=consumerrt&utm_campaign=teamsicontent
 

Dr.Towbinがテキサス小児病院時代に富山大学の小児循環器科医と交流があり、この医学生交流が実現したようです。小児心移植が間もなく始まるということで、さらに病院が勢いづいており、神経科・脳神経外科のみならず、循環器科・心臓外科部門もさらに規模が拡大しています。Cardiovascular Intensive Care Unit(CVICU;心臓血管集中治療室)には日本人の小児集中治療医がいて、CVICUの中心として大活躍しています。メンフィスに実習に来る医学生たちには、ぜひこの躍動感を感じてほしいです。

以上、夏が近づいてきたアメリカ南部のメンフィスから、ルボーナー特派員がお知らせしました。

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