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ブログについて

Harvard・MGHの小児精神科医。YaleとMGHでの研修を終え、ボストンで臨床も研究も頑張っております。

内田 舞

2007年北海道大学医学部卒。在学中にYale大学精神科のレジデンシーにマッチし、卒後すぐに渡米。Yaleでの精神科研修、Harvardマサチューセッツ総合病院(MGH)での小児精神科フェローを修了し、2013年よりハーバードMGHのアテンディング・助教。学生時代より朝日新聞、International Herald Tribune、医学界新聞などに医学関連のオピニオンを執筆。特技はフラメンコ、スキー、スケート、絵画。

内田 舞のブログ
2012/02/25

Jeremy Linと人種差別

23歳のハーバード大学出身の台湾系アメリカ人、ジェレミー・リン(http://ja.wikipedia.org/wiki/ジェレミー・リン)がNBAのNew York Knicksで大活躍してます。2/4/12 vs New Jersey Nets 25得点、5リバウンド、7アシスト。2/10/12 vs LA Lakers 38得点、7アシスト。2/11/12 vs Minnesota Timberwolves 20得点、8アシスト。2/14/12 vs Toronto 試合時間残り1秒で逆転スリーポイント!NBA史上誰も果たしたことのない記録を数週間のうちに築いてしまったLinにアメリカ中がinsanity (= craziness; めちゃくちゃすごい!)を文字って、Linsanity!と興奮してます。横目でゲームを見てた私も、最後のスリーポイントには、日本人らしく安西先生の顔を思い浮かべずにはいられませんでした。ありがとう、安西先生。。。またNBA選手としては非常に珍しくアジア系で、さらにハーバード大学出身という点でも注目されています。

Linの選手としての凄まじさの報道と同時に、アジア人差別の報道がハイライトされています。Linに関係する差別問題の記事やポストを目にしない日はないと言っても過言ではないです。
アメリカ大手ネットワークのFOX SPORTS記者が、対Lakers試合中に、アジア人ステレオタイプに基づく軽蔑的な性用語フレーズを用いてLinの業績を報道。その後謝罪。同様に大手スポーツネットワークのESPN記者は、中国人に対する差別用語の”Chink”を文字ったヘッドラインで、Linの業績を報道。その後、ヘッドライン作成者は会社をクビに。その他もろもろ。。。
これに対する反応はアメリカ国内で様々。人種差別は絶対に許されるべきではないと言う人もいれば、”It was a honest mistake.”「間違えただけで、誰かを傷つけようとしてたわけじゃない」のでクビはやりすぎと講義する人もいます。
私としては、SNL (Saturday Night Live; 土曜夜生放送のコメディー番組。政治的な内容のコメディーが多い)のレスポンスが、最高のレスポンスだったと思います。
スポーツアナウンサー4人が揃って、大笑いしながら、人種差別用語、フレーズを使ってLinの業績を報道。そこで、アナウンサーの1人が黒人選手に関して同様の人種差別ジョークを言ったところ、残り3人が「なんてことを言うんだ?!」と大反撃、そのアナウンサーはその場でクビになる。——といったストーリーの漫才だったのですが、つまりは現在Lin報道に使われている人種差別用語が、Linのチームメートの黒人選手に使われることはまずない、なぜならアメリカの公な場での黒人差別は絶対に許されるものではないからだ、人種差別はダメダメと言いながら、アジア人に対してはなぜOKなのか? という問いかけの内容でした。なかなか賢い漫才だと思いました。

ヨーロッパで過ごした幼少時代、日本での女医学生時代、現在MGHのフェローシップでだた一人の非アメリカ人であること。。。そんな経験から築かれた、私個人の差別に対する意見はいろいろありますが、このようなディスカッションがアメリカ国内でされるようになったことだけでも、すばらしいことだと思います。人の心を大きく動かす力がある点で、スター誕生はありがたいものですね。

1件のコメント

  1. 小林美和子 より:

    内田先生、はじめまして。興味深く拝見しました。私がWhitneyの記事で述べた文化帝国主義、実際の議論は実は日米比較が中心で、「参考資料」として、日本がいわゆるeconomic animalと言われた時代のアメリカの映画で出っ歯で首からカメラを提げた日本人サラリーマンが、昼は河原でおむつをつけて合気道のようなものをしている、というシーンを写したものが登場したのを覚えています。人種差別について私は意見できるような立場にはありませんが、悪気がないにしても、これらは人間の深層心理のどこかにある、他の人を下の立場におく事で自分の価値を確認しようとする/高めようとする動きのあらわれのように思えてしまいます。

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