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HPV Vaccine 2016/10/31

はじめまして、13歳の娘にHPV Vaccineを接種させるかどうか悩んでおります。 日本では多くの女の子達が、子宮頸がんワクチン接種後に重い副作用が出て苦しんでおり、日本政府も現在は接種を推奨していないそうですね。アメリカではワクチンを推奨しており、ニュースなどでも効果があるから接種すべきだと言ってるいるのを耳にします。でも一方で、医師達がやっているテレビ番組で、アメリカの女の子達にも重い副作用が出ている子達が居るということや、日本政府が子宮頸がんワクチンの推奨をやめたこともやっており、その番組に出演している医師の一人はワクチン接種を推奨しないと言っておりました。あとインターネットで検索していても、医師の方達が、自分の娘には接種させないと言っているニュース映像が出てきます。 他の予防接種は娘に受けさせていますが、この子宮頸がんワクチンだけは心配でまだ受けさせておりません。日本で多くの女の子達が副作用で苦しんでいるのと、接種が始まったのが2006年でまだ10年しか経っていないので、これからもっと副作用などの症例が出てこないか心配です。娘の主治医に相談したら、副作用で苦しんワクチンに反対しているのは少人数のグループで、実際ワクチンで救われている人たちが沢山居るはずだから私はワクチン接種を勧めると言われました。でももし私の娘が接種して重い副作用が出たら、苦しむのは娘です。これから楽しい青春が待っているのに副作用で学校に行けなくなったりしたら、、、と考えたりします。 アメリカで活躍されている医師の方々はこのワクチンについてどう思われますか?良かったら意見を聞かせてください。宜しくお願い致します。
※注)以下の回答はデータに基づく個人の見解を示すもので、必ずしもCDCの公式見解を表明するものではありません。

ご質問ありがとうございました。日本ではHPVワクチンの副反応のことが大きく取り上げられ、ご心配となるのも当然のことと思います。現存するデータをもとに結論を先に申し上げますと、HPVワクチンの安全性は他に推奨されているワクチン同様、高いといえると思います。

1.有害事象と副反応の違い
ちょっと専門的なことになってしまうかもしれませんが、ワクチンの安全について理解するにあたって 大事になりますので、長くなりますがまずは「有害事象」と「副反応」の違いについて簡単に説明させていただきます。「有害事象」とは、ワクチンを接種したあとに起こる全ての悪い出来事のことをさします。一方、「副反応」とは、有害事象の中でワクチンの関連があるとされたものをさします。

この有害事象と副反応がきちんと判別されなかったため、不要にワクチン接種が中止されてしまったり、その結果逆に予防できるはずの病気が予防できなかった例は過去にいくつもあります。最近では日本でヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを同時接種した後に死亡した例が4例報告されたことから接種が一時中止されましたが、これらの子供達にはもともと重い病気を抱えていたことなどから結局ワクチンとの関連性はないとされました(参考サイト:http://www.know-vpd.jp/news/811.php、http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000013zvg.html)

2.実際の安全性のデータ
本題のHPVワクチンの安全性についてです。さて、日本では有害事象の報告を受けて厚生労働省が副反応疑いの報告があった2584名に対して追跡調査を行っています。結果をまとめると、

副反応疑い報告:2584名(全接種者約338万人の0.08%)
—その中で経過が把握できた1739名中90%が軽快、あるいは回復し、通院不要
—回復しなかったのは186人(全接種者のうち、0.05%)
(参考サイト:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/chousa/index.html)

これは全ての副反応疑いの人を数えているので、その中で真の副反応によるものはさらに頻度が低いと予想されます。ヨーロッパで行われた安全性の追跡調査では、日本で問題となった全身の痛み(複合性局所疼痛症候群)などの発生率は、ワクチンを受けた人と、一般集団の間で差がみられなかったとされています(つまり、ワクチンを受けたことで、これらが起こりやすくなる、という証明ができていない)。

3. ワクチンの有効性と各種団体の見解
HPVに感染してから子宮頸がんが発生するまでには20年近くかかるとされており、癌になる前には前癌病変を経ます。ワクチンが導入された国々(アメリカ、オーストラリア、スコットランド、デンマーク)では2007年からの3~4年で子宮頸がんの前癌病変が50%減少したことが報告されたことを受けて、国内外の各団体がワクチンの有効性は明らかなものとしています(参考文献:http://vaccine-kyogikai.umin.jp/pdf/20160418_HPV-vaccine-opinion.pdf)

日本も関連する15の学術団体が存在するデータを吟味した結果HPVワクチンを推奨しています(http://vaccine-kyogikai.umin.jp/pdf/20160418_HPV-vaccine-opinion.pdf)。


4. まとめ
大事なお子さんのこと、ワクチンのことが心配なのは当然の事です。一連のHPVワクチンに関する情報の中には有害事象と副反応が混同して伝えられ、一般の方々が知るべき情報が十分に伝えられなかった可能性があります。現存するデータを見る限りではHPVワクチンの安全性は高いものであるといえます。ただ、どんな薬にも一定の割合で副作用が起こるように、ワクチンも一定の割合で副反応は見られます。それでも私たちが薬やワクチンを使うのは、使うことで得られる治療効果・予防効果が上回るからです。適切な情報が得られなかったために、予防できるはずの病気が予防できないことは避けたいものです。


小林 美和子

(注)これらの情報は回答時点のものであり、随時変更される可能性があります。

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