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B型髄膜炎の予防接種 2014/06/28

北米在住で、生後4ヶ月の子供がいます。B型髄膜炎の予防接種として、BEXSERO(Novartis Vaccines)という新しいワクチンがあることを聞きました。 髄膜炎はかかれば大変重い病気と知っているので、接種するべきかどうか迷っています。接種したほうがいいのか、理解しておくべき後遺症のリスクがあるのかどうか、アドバイスいただけますでしょうか。
ご質問ありがとうございます。今回は新しいワクチンについての質問であったため、小児感染症を専門とされている稲垣健悟先生に回答を頂きました。

Bexseroは比較的新しいワクチンですので、ネットなどで情報を探すのも苦労されるかと思います。以下、このワクチンを含む髄膜炎菌ワクチンの乳幼児での使用について概説します。

米国にも日本と同じように、国によって推奨されているワクチン接種スケジュールがあります。これら推奨されるワクチンは、米国の公的機関に設置された委員会において議論の上、定められます。この議論は、最新のデータを基にしてその病気がどのくらいの頻度で起こるのか、かかった場合の重症度はどうか、どういった個人が病気にかかりやすいのか、また安全性などの点からワクチンを推奨することが公共の利益にかなうのかなどを検討し、専門家の意見の集約として指針や勧告が作られます。現在一般的になっている肺炎球菌ワクチンやHibワクチンなどはこういった議論の結果により推奨されているものです。

髄膜炎菌は一般の方にはあまりなじみのない細菌かもしれませんが、ご指摘の通りかかると恐い病気です。髄膜炎菌には様々なタイプがあります。BexseroはB型をカバーする新しいワクチンですが、Bexsero以前にも、B型以外をカバーしているMenactra, Menveoといった髄膜炎ワクチンは承認されており、乳幼児では特定の免疫機能に異常のあるお子さんや、特定の血液疾患を持つお子さん、また髄膜炎菌にかかる頻度が高い地域に渡航予定のあるお子さんなどには推奨されています。しかしながら、米国において、現時点では健常な乳幼児に対して髄膜炎菌ワクチンを接種することは勧められていません(11歳以上の青少年に対しては推奨されています)。この理由の一つには、健常な人にはこの病気が比較的稀であることがあげられます。種々の要素を考慮の上、上記の公的な機関は現時点でワクチンを全体には推奨していない、ということになります。Bexseroについては新しいワクチンであるため、米国においては地域的な流行などの緊急時を除いて使用に関する具体的な指針は現在のところ出されていません。

ワクチンに関する公的機関からの指針・勧告はあくまでも一般の人口の利益を目的としていますので、ワクチンがその個人の利益になるかどうかはそれぞれのケースで検討する必要があります。上記の通り、特定の病気を持っていない健常な乳幼児には髄膜炎菌ワクチン(Bexsero以外も含めて)は推奨されていません。副作用については、FDAやCDCと言った公的機関は、他のワクチン同様に安全だとの立場をとっています。英国ではBexseroを乳幼児の一般接種に取り入れようという動きもありますので、安全性に関して大きな問題は今のところ見つかっていないようです。ただ、ワクチンや新しい薬剤は広く使われるようになってから新たな副作用が確認されることがあるのも確かです。

実際にワクチンを打つべきかどうかに関しては、かかりつけ医の先生とよく相談されることをお勧めします。そのうえでさらに迷われるようであれば、近隣の小児感染症(Pediatric Infectious Disease)の専門医にセカンドオピニオンを求めにいくのも良いと思います。お役に立てましたら幸いです。


浅井 章博

(注)これらの情報は回答時点のものであり、随時変更される可能性があります。

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