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反田篤志

ブログについて

最適な医療とは何でしょうか?命が最も長らえる医療?コストがかからない医療?誰でも心おきなくかかれる医療?答えはよく分かりません。私の日米での体験や知識から、皆さんがそれを考えるためのちょっとした材料を提供できればと思います。ちなみにブログ内の意見は私個人のものであり、所属する団体や病院の意見を代表するものではありません。

反田篤志

2007年東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院で初期研修後、ニューヨークで内科研修、メイヨークリニックで予防医学フェローを修める。米国内科専門医、米国予防医学専門医、公衆衛生学修士。医療の質向上を専門とする。在米日本人の健康増進に寄与することを目的に、米国医療情報プラットフォーム『あめいろぐ』を共同設立。

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(この記事は2013年12月号(vol99)「ロハス・メディカル」 およびロバスト・ヘルスhttp://robust-health.jp/ に掲載されたものです。)

先日アーミッシュの集落へ訪問診療に同行する機会がありました。以前にも書いたように、彼らは宗教上の信条から近代的な生活様式を営まず、昔ながらの農耕や手芸を中心とした生活をしています。その集落は広々とした畑に囲まれ、一見ミネソタでよく見る風景と変わらないのですが、自動車の代わりに馬車が道を行き来しています。

今回訪問診療に連れて行ってくれた先生は13年間、月に1回その集落を訪れています。ある家を訪れると、白いフードをかぶり、青色のワンピースを着たおばあさん(仮にエミーさんとします)が迎えてくれました。彼女は集落の保健婦かつリーダー的な存在で、西洋医療に理解があり、集落のお産すべてを手掛けています。妊娠経過が順調でなければ産婦人科に紹介し、自宅出産が危険だと判断すれば救急車を呼ぶことも躊躇しません。出産直後の新生児にはビタミンKと眼軟膏を使い、ワクチン接種も推奨しています。その結果、集落では皆がワクチンを接種しています。アーミッシュは基本的に避妊をしないので、多くの家族が子だくさんです。集落内にエミーさんがいることで、多くの子どもの健康が守られています。

アーミッシュの中でも、医療に対する考え方は人それぞれです。例えばエミーさんの夫は多くの慢性疾患を持ち、冠動脈バイパス手術や、最先端の治療である経カテーテル大動脈弁植え込み術を受け、睡眠時無呼吸症候群に対してCPAP(持続陽圧呼吸療法)装置を使っています。同様にCPAP装置を使っている別の方は高血圧の薬も飲んでいますが、同時に健康維持のためにハーブを使っています。車で3時間ほどの所には、アーミッシュ内で有名なカイロプラクティックの診療所があり、調子が悪いとそこへ行く人もいます。様々なサプリやホメオパシーを使う人もいます。西洋医療を受けることを拒み、メキシコまで行って治療(詳細は不明)を受ける人もいます。一方で、死に対する考えは概ね一致しているようです。病気や死を自然のものとして受け入れ、最期を病院で過ごすことは稀です。

アーミッシュの生活は極めて質素です。その集落でも、普通の体型の人がほとんどでした。3人に1人が肥満の一般的な米国人と比べると、とても健康的なように思えました。しかしながら、心不全やガン、うつ病などの疾患は普通に存在しますし、寿命も特別長くはないようです。

エミーさんが、アーミッシュに伝わる診断法を教えてくれました。Testingと呼ばれるその手法では、片方の手で鎖を持ち、もう片方の手の平に載せた薬の上に垂らします。鎖の先が時計回りに回れば、その薬を摂るべきだという印。反時計回りなら摂るべきではないという印です。回らない場合は薬の量を減らし、時計回りに回る所が適量と判断します。

このような伝統を科学的でないと切り捨てることは簡単ですが、切り捨てて彼らはより健康に、幸せになれるのでしょうか?そのようなことを深く考えさせられました。

2件のコメント

  1. 興味深くよませていただきました。私はそのアーミッシュで有名な、ペンシルベニア州、ランカスターで、看護師をしています。
    最近は、一般(conventional)な医療を受け入れるアーミッシュの方々も増えてきているようです。問題となるのは、保険にはいっていないこと、そして、高額医療を受けるか、受けないかの判断は、そのアーミッシュの属している教会の長老の決定権を持っているということです。農耕具による事故でヘリコプターで搬送すれば、たすかる所を、自宅に電話のない長老の判断まちで、医療従事者を困らせる場合もあります。最近のアーミッシュの多くの若者は、携帯電話を持っているようです。これにより、アーミッシュの考え方もこれから、おおきく変わるのでは、と思われますが、アーミッシュの生活様式、生活理念には、私達が見習うべき所も、たくさんあると思います。

    • コメントありがとうございます!私の訪れたアーミッシュの集落では、個人で電話を持つことは禁じられているので、違いがあって面白いですね。そこでは集落に一つ公衆電話が設置されていて、必要な場合はそこを使用しているようでした(所有さえしなければ、使用してもよい)。他にも、車は所有してはいけないが、買い出しや医療機関の受診などの理由で街を訪れる必要がある場合は、非アーミッシュの知り合いやタクシーなどのサービスを利用して車で移動するとのことでした。馬車では移動が大変な上、街中では危険が伴うためとのことです。

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